着物で旅に出掛けてみたら…。
旅に出かける時、巡り合う人や素敵な場所の事を想うと、気持ちがウキウキと弾みます。
「どんな食べ物があるだろう?」「どんな文化があるだろう?」
まだ訪れた事のない場所に、思いを馳せるほど心踊るものですね。
異なる文化って、どうしてこんなにも私達を魅了するのでしょう。
知らないものが得られるから? 未知の体験が待っているから?
「旅着物スタイリング」では国内外を問わず、旅先での着物コーディネートをご紹介します。
温かな異文化交流が生まれる着物旅、趣き豊かな着物ならではの楽しみがそこにある。
装いに旅先へのリスペクトを込めると、より楽しく、心も豊かになっていくから不思議・・・。
あなたも旅先を想う着物コーデしてみませんか。
◆建築家 アントニ・ガウディが天才になれた理由
閑静な住宅街の中に突如として現れる、迫力あるドラゴンの門。
後にガウディの強力なパトロンとなる実業家エウセビオ・グエルの心をここグエル別邸で繋ぎ止めていなければ、天才建築家として世に崇められることは無かったのでは…。
バルセロナの中心地から北西に少し離れたところ、今回はグエル別邸への旅です。
大使館、領事館などの邸宅が立ち並び、日本人の駐在員も多く住む閑静な住宅街エリア、ペドラルベス地区にひっそりと佇むグエル別邸。
周りには広大な敷地のバルセロナ大学や、美しい庭園をもつ衣装博物館などもあり、ゆったりとした町並みがバルセロナ中心地とは違う穏やかな雰囲気を誘います。
(街のタイルもガウディのデザイン!)
フランス式庭園とロマン主義スタイルに建てられていた建物を、グエル伯爵はガウディに改築と門番小屋の新築を依頼。
自宅をバルセロナ中心地にも持つグエル家の休日は、ここの広々とした空間の別邸でゆったりと、ピクニックなどをして家族の団欒や招待客とのパーティーを楽しんだのでしょうか^^
グエルの死後、グエル家は1954年にバルセロナ大学に売却、2009年からはバルセロナ市役所の観光課の所有物となっているため、内部の見学は事前予約ツアーのみだとか。(2017年現在)
1984年に世界遺産になっていますが、いつもは観光客もまばらで人通りも極端に少ない場所、本当にゆったりと気兼ねなく写真撮影もできるので、着物と世界遺産フォトにはかなりの穴場です。
◆ 建物に施された二人の絆の証。
繊維業で財をなした実業家であり、政治家にもなったエウセビオ・グエル。
建築学校を卒業して直ぐの1878年、パリ万博にて手袋店のショーケースを出品していたガウディ。
この二人の化学反応は、ここグエル別邸から本格的に建築の中に広がっていくことになります。
(夜空に輝く星とも、カタルーニャ伝説に出てくるバラとも思える壁装飾)
(ドラゴンの鱗のような壁。和好きなら反応しちゃう青海波ですね。)
地中海にある植物などをモチーフにしたり、庭園に植えたりと、その土地らしい特徴をふんだんに取り入れるガウディ。ガウディーはその土地への敬意と愛情、依頼主と自分のメッセージを巧妙に建築へ取り入れ、詩的ストーリーを創る事に大変長けていることでも有名です。
初期作のこちらにも、グエルとガウディーの絆が強固なものになる様々な仕掛けが。
建物のあちらこちらに込められたメッセージ、いわゆる”ガウディーコード”を各建物で読み解くのも楽しい大人の旅ですね。
‘繊維業で財を成したグエル’というところも着物との共通項があって、勝手に親近感が!
(ギリシャ神話に関連させたカタルーニャ詩人の「ラ・アトランティダ」のオレンジを想像しての、架空の花々が織り出された八寸名古屋帯)
♦︎グエル別邸のガウディのメッセージモチーフ
ガウディ、グエルの19世紀末の建築は、コテコテの装飾性がブームとなっていたアール・ヌーヴォー時代。
ファッションも装飾性高く、ウエストを細め、スカートをふんわりと、さらにレースなどでお尻部分にボリュームを出していた時です。
そんな、装飾性豊かな時代にガウディが建築に込めた数々のガウディーコード。
見つけ出すのも楽しいですし、着物コーディネートの中に取り入れてみるのも面白さが深まりますね。
・必然性の装飾性
・ドラゴンとバラ
・みかんの木
・ギリシャ神話とラ・アトランティダ
・星座
・グエルの頭文字G
・鱗の壁
・簡素性の装飾美と詩的アイディア
・モザイクの装飾性と用の美
などなど
グエルとガウディの郷土愛が一致し、作品としてアウトプットできる建築対象をグエルが提供出来たからこそ、ここを始めとする数々の驚異的な作品がガウディから生まれることになったのではないでしょうか。
その第一号の建物が、このドラゴンの門を持つグエル別邸、奇跡の始まりの作品を目の前に、過去の歴史に心が踊ります。
グエル別邸に秘められたガウディーコードを読み解く為のもう一つの物語、ギリシャ神話とパロディについては次回!
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パーソナル着物スタイリング
齋藤優見
**グエル別邸とキモノコーデ参考文献**
・ガウディの伝言 (外尾悦郎著)
・ガウディコード ドラゴンの瞳 (田中裕也著)
・グエル別邸 ビジュアルガイド
・ガウディ装飾論 (松倉保夫著)
・ガウディの作品 芸術と建築 (ファン バセゴーダ)
・ガウディの生涯 (北川圭子著)
・星と神話 (井辻朱美監修)
・ギリシャ神話(吉田敦彦著)
・Gaudi y el Conde Guell
・La atrantida