アート作品と作家さんの個性に合う着物スタイリングは来場者を楽しませることができるのか？

個性あふれるアーティストさん達の作品はそれだけで魅力的。見るものの目と心を楽しませ、心も豊かになる。出品作品を邪魔する事なく、かつ、作品への会話が弾むアーティスト達の個性を引き出す装いとは…。

今回は一度に5人の方を担当させて頂き、当日まで会えない方もいらしたのでドキドキでしたが、装いの力はスタイリストのメッセージを超えて、作家さん達が作品から抜け出た新たなアート空間を創造しているようでした。

着物のスタイリングから、作家さん自らがご自分の作品タイプに気がつかれた方、来場者から着物コーデと作品の関係を尋ねられて作家さん自身が気がつかなかった特徴を発見された方も^_^

作家さん達のアートと着物スタイリングご紹介

♦︎日本画家 鈴木國男さん
鈴木さんこだわりのジャパンブルーに広がる直線と曲線の創造主、相模原を愛する心が滲み出ているところからのインスピレーション。作品の題名「water clock」に合わせ、今の時を示すクリスマスコサージュ付き。

”日本の美意識の全てが着物に集約されていると思ったので今回依頼しました。芸術作品に満点はないと思いますが、満足度が高かった！動画は１１００回再生！　今後もコラボ等の可能性を考えています。今後ともどうぞよろしくお願いします。”

♦︎クラフトアーティスト　板倉三絵さん
板倉さんは糸作家さんから珍しい糸を仕入れて、様々な素材感にて魚のバッグを出品されたので、着物をキャンパスとして魚が自由に泳いでいるイメージをアンティーク着物にてアレンジ。板倉さんお気に入りの手作りお帽子もあわせて、作り手の温もりが感じられるコーデにしました。まさに”用のアート”❣️
彼女の優しさが現れたスタイリングとなりました^_^

♦︎フォトアート　　坂田茂さん
坂田さんのフォトアートは私のツボにハマりました^_^ 光のプリズムが引き出され、生きとし生けるものの中に虹の輝きが映る様。複数枚の写真を組み合わせることで偶然に現れる世界観を面白く表現されている技法もっ！とてもチャーミングな表現方法からインスピレーションを得て、着物から作られたベストをショール風に、ウールの着物から作られたタイパンツ袴をチョイス。彼のトレンドマークの帽子を合わせて個性的なコーデにしました。彼のフォトアートの中に溶け込みそう？！

♦︎画家・トイカメラアーティスト　菅沼早苗さん

早苗さんの作品は近くでじわーっと鑑賞すると、次々に発見される世界感に夢が膨らむアート。白一色と思いきや…!な驚き。トイカメラのアートは日の出の輝きに訪れる1日の始まりストーリーがロマンチックに広がりるイメージから、水面に映る光が彼女を包み込むような着物をチョイス。素材感が異なる白を多用して、二つの作品を繋げました。後ろの帯結びはトイカメラに映り込む風船からインスピレーション。前の帯結びは、新しい命が宿るお腹を優しくカバー^_^
様々な表情を魅せて下さる彼女のアート感を、近寄ることで見え方が変わる作風とリンクさせたコーデと致しました♪

”普段着ないような色柄の着物をうまくコーディネートされていた。妊婦のおなかでも苦しくなく快適でした。着ている時間が４時間ぐらいの短時間だったので物足りなさがあった。次はアートでどうなるのか楽しみです♪”

♦︎水墨画作家　北川　聡さん
大阪からいらっしゃった北川さんの作品は日本の色、墨の濃淡で表現するアート。
先日私は”藤田嗣治”の展覧会に行って墨の日本らしい魅力というものに興味を抱いていたので、北川さんのタッチに興味津々でした^_^
「墨」というと、水っぽいというイメージご私にはあったのですが、北川さんは「だからそこあえて水というテーマを表現するのに苦労した。」と教えてくださいました。
可愛らしく、儚く、夢と愛に光を求めて泳ぐ人魚に北川さんのロマンを感じ、黒の紬の着物に、泡を水玉模様で表した伊達襟を入れ、角帯は白地に荒磯文様で人魚をの希望を応援するストーリーに。アレンジ羽織には、北村さんが動くたびに漆糸がキラキラと光る水面を表す様に。

”着物は初めて着て、硬い感じかと思っていたけれども表現をする着物というのもあるのだと感じた。自分きこなしきれていなかったように思うけれど、細部に共通点を入れることでこれほどアート作品とリンクするとは思わなかったので嬉しい！着物に見合うアートも表現できるように精進します！ありがとうございました。”

付加価値がスタイリストからの贈り物

3回目を迎える愛情たっぷりの『水で繋がるアートワークス展』、ギャラリートークの盛り上がりにホッとするとともに、相模原市のアートの情熱に心を打たれましたスタイリング日となりました。スタイリング着付けの後には本日のスタイリングカードをお渡ししています。はじめは内容を着付けの時に口頭でお伝えしていたのですが、「自分のことが客観視できる！」「発見が多くてためになる！」「後で見直したい！」などのお声から、このようにカードにしてお渡しするようになりました。

質問が飛び交うギャラリートークで感性を磨く

ギャラリートークでは、作家さんたちの思いや、どうしてこういう表現になったのかなどのお話を聞けるので、自分が今まで気がつかなかった視点や考え方、楽しみ方の幅を広げるのにとてもいい機会でした。アートは本当に奥が深く、その方その方の存在感が現れるものですね。

この度は『水で繋がるアートワークスⅢ』のご盛況を誠におめでとうございました。
皆様の個性と魅力あふれるアートのご発展を心よりお祈り申し上げます。

来年の第4回の開催も楽しみにしております！

『水で繋がるアートワークスⅢ』相模原
2018年12月10日から22日
月曜〜金曜 10時から18時
土日 13時から17時
最寄駅:相模原駅 徒歩18分 相模原市役所近く
ギャラリー誠文堂にて

キモノワールドライフ
パーソナル着物スタイリング
齋藤優見

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