江戸小紋 〜江戸時代の粋・明治のシック〜 【町田市博物館にて】

今日はハロウィンですね。今夜は仮装で盛り上がる方も多くいらっしゃることと思います。
子供のみならず、最近では大人も変身を大いに楽しむ活気が日本にも定着しつつありますね。
私も今年は急遽予定変更で人生初の仮装をしました〜。仮装で盛り上がるのも、現代の秋を楽しむ一つの方法ですね。
とはいえ、3日後に控えたもう一つの秋イベントもお忘れなく。
日本には11月3日(祝)の文化の日もあります。
過去の日本がどんなことに美学を見出し、今の日本美として私たちを魅了するのか、「芸術の秋」として大人の楽しみを見つけるのもオツですね。
今回訪れたのは、東京都町田市にある「町田市立博物館」で開催されている「江戸の粋、明治のシック」と題された、江戸小紋や型染めデザインの美の展示。
江戸小紋着物 江戸の粋 秋のきもの 町田市立博物館
町田駅からバスに乗って15分、そこからさらに丘の上を目指して15分ほど徒歩で登ります。小さな博物館ですが、展示とともに学芸員さんが時折説明もしてくれる、アットホームで内容の濃い場所です。
他の方に説明をしている所に思わず便乗、自分の質問も重ね合わせ、博物館なのに出会った人としゃべる、しゃべる!
自分が持ち合わせていない美的視点はとても興味深く、自分のセンスを磨く刺激剤にもなります。

昔のサラリーマンはおしゃれにとても気をつけている!?

江戸で仕える侍男性陣が着ていた裃は、江戸小紋の模様が極々細かいのに、家紋は「どうだっ!」というほど大きく(今よりも大きい)、袴の脇にも大胆に染め抜かれているので、かなりのインパクトが。
家紋の周りに刺繍などで覆うように装飾を施し、さらに家紋を華やかにおおらかに表現しているものなど、自己表現とおしゃれ、見栄えにかなり意識を向けられていたことが伺えます。
現代の袴にもつけてみたらきっとかっこいいだろうなぁ。
麻地が主流の江戸時代、高級な絹や麻の織物は、表面が平らなため、細かい型染め(後の江戸小紋)に適していたとか。
外国から木綿が入り始め日本で普及し始めた時には、この型染めが木綿にも施されましたが、木綿の織物は表面が麻や絹よりもボコボコしているため、当時は細かい柄よりも中型、大型の型染めに適していたそうです。だから木綿地の浴衣には中型の型染めが沢山あるのですね。
中には、庶民の暮らしが伺えるような展示もありました。一反に何種類もの型染めが施され、その質感や顔映りなどを実際に試して販売していた生地見本を利用した半纏や野良着、長襦袢など。今の私たちからすれば逆におしゃれに見える!無駄のない美学が光ります。

さらなる情景美、追っ掛け型

二枚の型紙を用いて一つのデザインを完成させる染め方法。
図案を見ながら職人が勘と技でデザインを分解、何枚もの型染めを同じ場所にすることで、多色のデザインが浮かび上がる。
デザインそのものに奥行きや情景の広さが広がる・・・。
浮世絵でも色数が増えるたびに型が増えますが、これを衣服にも取り込もうというファッション美学にただただ、感動です。
129点に及ぶ、状態の良い当時の型染めが間近で鑑賞できます。テキスタイルとしても洗練されたデザインの数々、そして衣服になった時の魅力的な雰囲気の駆け引き、組み合わせ、着手のユーモアさが滲み出るファッションセンスは見る価値ありです。
知的であり、ユーモアにも優れたファッション感覚に、昔から日本人は長けているように思います。
季節や環境に目を向けてみたら、きっともっと時間を楽しむことができるだろう。
自分が装いを通して、誰が笑顔を見せてくれるだろう、誰がほっこりとした気持ちになってくれるだろう、とデザインを起こせば、きっと微笑み返しのある関係が作れることだろう。

町田市立博物館 「江戸の粋、明治のシック」型染めの美学は11月5日まで開催です。
文化の日をきっかけに、日本の美学に触れてみてはいかがでしょうか。

【この日の着物スタイル】
江戸のおしゃれ心を現代で楽しんでみたら・・・、を妄想して。
秋の花と色を取り入れ、出会う方々との秋の会話を期待しながら。
大人のハロウィン 文化の日着物 江戸小紋きもの
時期:秋中頃
着物:紺と臙脂、白練色の川越唐山。江戸時代に外国から入ってきて人気となった唐山(縦縞)の木綿着物
帯:秋花の牡丹菊の織り八寸名古屋帯。
帯揚げ:琥珀色の縮緬。色づく紅葉が待ち遠しい。
帯締め:辛子色の縦縞の冠組。縦縞の着物と合わせてすっきり感を。
草履:カレンブロッソ カフェ草履
バッグ:型押しのカーキ色がま口ハンドバック。

秋の深まりが楽しみですね♪ 今年はどんなこっくりカラーを着ようかな〜。

キモノワールドライフ
パーソナル着物スタイリング
齋藤優見

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